NEW PLANTS EXPERIMENTS

個人趣味での植物実験レポ

琴の糸(カエデ属)の発芽

1.はじめに

4月の温暖な時期になり夏に向けて急成長する植物は増えるが、休眠打破が必要なモミジは発芽率が下がっており、ほとんど発芽がしなくなっている。休眠する種子の中である一定の低温状態を経験しないと発芽がおこらない品種は低温要求性種子と呼ばれ温帯~亜寒帯の植物が該当する。その期間は2か月以上という。休眠打破が必要条件だとの考察に至った背景は後で紹介するが、12末に入手した珊瑚閣、川原みどり、美峰は低確率ながらいずれも発芽に至ったが、1月以降に同じ箇所から購入した種子が全く発芽しなかった為である。他方、青龍など別箇所から購入した種子は何故か植え付け後1週間で発芽しており、その理由が不明であった。

 

参考記事

休眠打破とは - マルシェ青空

モミジ(珊瑚閣)発芽 - NEW PLANTS EXPERIMENTS

モミジ(川原みどり)発芽 - NEW PLANTS EXPERIMENTS

美峰(カエデ属)の発芽 - NEW PLANTS EXPERIMENTS

モミジ(青竜:セイリュウ)発芽試験 - NEW PLANTS EXPERIMENTS

 

2.実験方法

yahooショッピングで購入したモミジ・琴の糸で種子を購入した(3/22)。背景に示す通り、このショップで購入する種子(青龍と同じ)は稀に休眠打破が不要な種子がある。Fig.2に届いた種子の概要を示す。2024年収穫で場所は米国オレゴン州とされるアメリカンのようである。

Fig.1 ヤフー購入種子

Fig.2 種子概要

種子裏面をFig.3に示す。配送は3/26頃に着であったが、種子内部から既に発芽が見られていた。今回はメネデール浸漬を8時間で止めた。理由は、根を持つ種が成長し、白い貧弱なモヤシ双葉に至った種子も見られたためである。その後、Seria観葉植物用土に即座に植え付けを行い、屋外の日当たりのよい場所に置いた。

Fig3 種子袋裏面

3. 実験結果

Fig.4に1週間後の双葉の様子を示す。モヤシ状の種子は成長し、黄緑色の双葉に至った。

Fig.4 植え付け1週間後の双葉

4.考察

モミジ系の種子は発芽前の環境が極めて重要であり、特に休眠打破が必要である。眠眠打破を行う際に、湿った状態での2か月等の放置が重要との情報がある。したがってキッチンペーパーにくるんで冷蔵庫にジップロックしておく形式が発芽率を上げる手段と想定される。途中、発根に至り、モヤシ状の状態であっても植え付けを適正に行えば、葉緑体の生成などが始まり葉色が整うようである。琴の糸の種子は何らかの湿り気がある状態、また店の保管状況が(半屋外などの)低温などで既に発芽していたと想定される。今回の結果を受け、発芽に至らなかったモミジの種子などを再洗浄し、6月頃から再度、植え付けなどで発芽率を確かめようと思う。なお、琴の糸は、他のモミジと比べると、洋物とあってサイズが大きい双葉である。オオモミジに該当するカエデ属などは双葉の状態でも他の品種と大きく異なるということが分かった。