1.はじめに
桑は古くから養蚕、茶葉、実はマルベリーとして食用に。そして盆栽にと用い方が多様であり、何より秋の葉の色づきが圧巻である。雌雄異株であるため一般的にドワーフマルベリーを除き実がなるかはギャンブル的なところもある。
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夏になると暑すぎるため、トロピカルフルーツであっても植物の発芽も難しい。今回この時期に急成長しだした桑を使って初根試験をした。
2.実験方法
まずは、ホワイトマルベリーを切る(Fig.1)。切り口からは木工用ボンドのような樹液が出るのがクワ科の特徴である。次に雲龍桑(Fig.2)を切る。曲がり桑であり葉毎に曲がる茎が特徴的である。これをメネデール溶液につけ、約3日に一回水替し続けた。
Fig.1 ホワイトマルベリー(5/18)
Fig.2 雲龍桑(5/18)
3.実験結果
Fig.3にホワイトマルベリーの発根の状態を示す。切断部がイボ状となり塊状部から根が生えた。
Fig.3 ホワイトマルベリー発根
Fig.4に雲龍桑の初根を示す。折れ曲がる茎の下から同じく塊状の瘤と発根が確認された。
Fig.4 雲龍桑の発根
4.考察
マルベリーから種を採取する場合も発芽させる事ができる。Fig.5は2/23に取り上げたアフガニスタンマルベリーである。半年で特に5〜6月にかけての成長著しい。
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また猛暑に対してもかなり強い耐性があり枯れても切っても新たな芽がでやすい。上記で述べた通り雌雄異株や、また植物界最高の花粉発散速度なので選択的な受粉も困難であることを考えると、種か挿し木が良さそうである。今度は桑の仲間、ヒメコウゾ(Fig.6)の増殖にもチャレンジしてみたい。きっとこの木工用ボンドみたいな樹液(乳液)が根を生やしやすくしてるのだろう。ユーフォルビアの猛毒のような感じに近い可能性がある。ただし、調べてみると蚕以外には猛毒や矢毒の例も。人にはさほど毒ではないらしく殺虫成分として期待されるそうだ。日焼け止めと虫除けに使われたら、化学として素晴らしいと思う。
Fig.5 アフガニスタンマルベリー
Fig.6 ヒメコウゾ(切断部)